窒素はんだこてとは

1. 窒素はんだこての概要
窒素はんだこては、株式会社大成化研が1995年に世界ではじめて開発した、
窒素ガスを利用したはんだ付けツールです。
電気はんだこての先端に加熱された窒素ガスを供給し、局所的な無酸素状態を作り出します。
はんだの溶融は、実質的にはこて先のチップとの接触による伝導熱によりますが、
加熱された窒素ガスの対流熱はチップの温度を一定に保ち、
はんだや部材に効率よく熱伝達することに役立ちます。
 
ハイブリッドN2チップのしくみ
 
2. 窒素はんだこての特徴
酸化抑制
窒素ガス雰囲気中(低酸素状態)ではんだ付けを行うため、錫の優先酸化(SnO)が抑えられ、溶融はんだ成分の変化が起こらず、はんだつらら、ブリッジなどのはんだ付け不良が少なくなります。
無洗浄化対応
窒素ガス雰囲気には、フラックスの活性持続時間を延ばす効果や活性作用の促進効果(濡れ性向上)があり、フラックスの低減(弱活性化)を可能とします。
予熱効果
こて先から噴射される加熱窒素ガスによる予熱効果で、部材へのヒートショックを緩和します。
作業性向上
 こて先へは金属を媒体とした熱伝導のほか、窒素ガスを媒体とした熱の伝達も行われています。このため、負荷をかけた場合にも温度変化は少なく、温度回復特性も大変優れており、連続して安定したはんだ付けが行えます。
鉛フリー対応 
加熱窒素ガスの効果による濡れ性の向上、金属酸化の抑制、予熱効果によって鉛フリーはんだ付けも高品質に実現します。
 
3. 鉛フリーはんだへの対応
@ 鉛フリーはんだの問題点
ぬれ広がり性が悪い
広がり面積はSn-Pb共晶はんだの約1/3程度、Pbを含まないため、はんだの流動性が低下することが原因として考えられる。
融点が高く、電子部品の耐熱性に問題が生じる
鉛フリーはんだの融点の高さは、従来のSn-Pb共晶はんだに比べ+20〜45℃と高く、はんだこてのこて先温度も高く設定しなければならない。また、高温にさらされるため酸化も激しい。
 
A 窒素はんだこてができること
ぬれ広がり性の向上
窒素はんだこては溶融はんだの周囲に無酸素(低酸素)状態を作り出します。これにより本来フラックスにある接合面の酸化物を除去する作用を促進し、接合部の界面張力を低下させはんだのぬれ広がり性を向上させます。
酸化の抑制
鉛フリーはんだは融点も高く、Pbも含まれないため、その溶融はんだはSn-Pb系より酸化しやすい状況に置かれます。窒素はんだこての作り出す窒素ガス雰囲気中(無酸素状態)ではんだ付けを行えば溶融はんだの酸化は抑制され、接合部の品質向上と不良率の低下を実現します。
詳細な熱管理(こて先温度を一定に保つこと)
熱しにくく冷めにくい鉛フリーはんだでは規定温度以上に昇温することなく熱の移動速度を改善することが必要です。窒素はんだこては、こて先から噴射されているホット窒素ガスによりはんだや部材に対する熱伝導が起こります。これにより従来のはんだこての金属を介した熱伝導によるプレヒートに比べ、より効率的に熱を伝えることができます。また、窒素ガスを媒体としてこて先へ熱の供給を行っていますので、負荷をかけた場合にも温度変化の度合いが少なく、正確な温度管理が可能です。
 
B 窒素ガスによる不良率の減少
はんだ付け時の酸素濃度を低減すれば、はんだ付け不良の発生は低く押さえられます。以下は、フローはんだ付けにおいて、酸素濃度と不良率の関係をグラフに表したものです。
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